Kanamachi St

下町、駄菓子屋的な鶏肉専門店

誰もが幼き日に通った店があると思います。
年代や生まれた場所によっては、それがスーパーマーケットだったりするかもしれませんが、昭和生まれであれば「駄菓子屋」が多く当てはまるのではないのでしょうか。

しかし、以前にTV番組「アド街ック天国」で、東京の下町である「金町」では、鶏肉専門店に子供たちが集まるというのを放送していました。
そのお店は「協実食鳥」(きょうみしょくちょう)。
精肉のほかに、お店で作る焼き鳥や唐揚げをその場で提供しており、子供たちがおやつとして買いに集まるのだそう。

当時、早速次の土曜日、そのお店を訪問した記憶があります。
それからは、時折金町を訪問していましたが、ここ数年は行かずじまいでした。
最近、金町に立ち寄る機会がありましたので、久しぶりにあの味を求めるため、お店を訪問しました。

住宅地の中の地元密着型、昔ながらの鶏肉専門店

Kanamachi St
JR常磐線の金町駅に降り立ち、改札をくぐると、南口と北口に出口が分かれます。
賑やかさがあるのは、東急ストアや商店街などが立ち並ぶ北口のほうですが、南口は京成金町駅があるものの、すぐに古い住宅地と商店が点在する街となり、下町感があります。

今回訪問する「協実食鳥」さんは南口側にあり、歩いても5~6分の距離。
古い街並みを歩きながら、お店に向かいます。
Kanamachi St
・商店街入口。左手の建物は、京成金町駅。
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・金町末広商店会。それほど商店は連続していない。

商店街を400mほど道なりに歩いていくと、レトロな「金町湯」という銭湯が見えてきます。
ここの交差点を左に曲がると、協実食鳥さんまではもうすぐです。
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・右の重厚な瓦屋根の建物が「金町湯」。昭和18年創業とのこと。
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・交差点を左に曲がると、「協実食鳥」が見える。

到着したのは、12:00を少し過ぎた開店直後。
まだ、店主さんと奥様が開店準備中のところでした。
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・店舗は非常にコンパクト。端々に年季を感じます。

ここの店主さん、近所の子供たちからは「おっちゃん」と呼ばれているとのこと。
地域の駄菓子屋のような存在で、小銭を握ってきて「焼き鳥」や名物の「もも唐揚げ」を食べていくのだとか。

ここの焼き鳥のタレはワインを加えた甘く濃いもので、「もも唐揚げ」はこのタレに一晩漬け込んで揚げたもの。
なお、ここでは「もも唐揚げ」の食べ方の裏技として、半分食べたら「おっちゃん、タレかけて!」と言って、焼鳥のタレをかけてもらう作法もあります。

次の予定もあったことから、申し訳ないながらも開店準備中のおっちゃんに声を掛け、「焼き鳥」と「もも唐揚げ」はあるか聞いたところ、これから焼くので、出来上がりは13時くらいとのこと。
残念ながら今回は無理かな・・・と思っていたところ、「もも唐揚げなら今から揚げるから、ちょっと待ってて」とのことだったので、勿論待つことにしました。

待つ間、数年ぶりの対面となる店舗を見渡します。
店頭には、常連さんと思われる子供たちの色褪せたプリクラが貼られたままで、時が止まったようでしたが、「協実食鳥アプリ」なる広告が貼られていて少しビックリしました。
熱心なファンが作ったのでしょうか?
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・開店準備中の店頭
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・焼き鳥はお店の外で焼くタイプ。ひさしの煤け具合がいいですね。
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・焼きあがった焼き鳥を陳列するケース。この日は残念ながら空っぽでした。

恐縮ながら、おっちゃんと暫し歓談させていただきました。
この数年で変わったこと、今でも遠くから常連さんが来てくれること等々。

気軽に話をしてくれるこのふれあいが、このお店の真骨頂のような気がします。
おっちゃんの人柄が良いので、駄菓子屋のようにみんな集まってくるのでしょう。
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・もも唐揚げを揚げている途中。早く食べたい気持ちを抑えます。

もも唐揚げが到着!
そして「おっちゃん、タレ・・・」

どうやら、もも唐揚げが揚がったようです!
2個注文すると、結構大きいよとアドバイスされましたが、私は全然大丈夫!午後のお仕事がなければ4つくらい食べたいところでした。
そして、「例のタレ」もスタンバイされました。
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・これが「例のタレ」。この容器も年季が入っています。

「おっちゃん、タレかけて!」
とは、流石に言えずに「すみませんが、タレを・・・」と控えめにオーダー。
たっぷりとかけてくれました。感謝です!
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・衣にタレがしみ込み、とてもいい感じに。

「揚げたてだから、これはうまいよ。」と確信に満ちた表情で手渡しされました。
本当に美味しそう!
これで確か300円ちょっとでした。
近所にあったら、毎日通ってしまいますね。

熱々のうちに実食です

楽しかったおっちゃんとのふれあいもここまで。
お礼を言って、近くの公園に向かいます。

協実食鳥さんから歩いて5分程度のところに「葛飾にいじゅくみらい公園」があります。
東京理科大の南側に面するこの公園は、以前は三菱製紙中川工場でした。
その工場は、平成15年(2003年)3月に閉鎖されていますが、破損紙や切れ端を再生するために使われていた蒸し釜である「地球釜」は製紙産業の貴重な文化遺産として、この公園に展示されています。
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・中央の丸い物体が「地球釜」

地球釜の前には、ちょうどベンチが設置されていましたので、ここで「もも唐揚げ」を頂戴することとしました。
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・地球釜。直径は4m以上もある巨大な物体。

いよいよ実食です。
おっちゃんが食べやすいようにと、竹串を2本付けてくれました。
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一つが握りこぶしくらいの大きさがあります。
地球釜のように丸く肉厚でした。
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一口齧ると、甘じょっぱいタレの味とともに、鶏肉の旨味が口の中に広がります。
お肉はとても柔らかく、そしてジューシー!
衣はサクサクだけれどもトゲトゲしていなく、いい塩梅です。

以前と変わらぬおいしさに、あっという間に2つを平らげてしまいました。
お土産用にあと4~5個買っておけばよかったと後悔しました。

まとめ

協実食鳥さんは、店名だけを聞くと聞きなれないフレーズなので多少ギョッとしますが、地域に愛される駄菓子屋的鶏肉専門店です。
名物の「もも唐揚げ」は必食です!
その際は裏技の「おっちゃん、タレかけて!」を忘れずに。


お店の情報
店名:協実食鳥(きょうみしょくちょう)
場所:東京都葛飾区金町4-24-12
時間:12:00~19:00
定休日:日曜日・祝日
電話:03-3609-0607